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知的財産の種類と技術移転の考え方

1.岡山大学の知的財産について

 岡山大学の知的財産には「特許」、「成果有体物」、「先生方による技術相談・技術開示・ノウハウ指導」、「著作物やコンピュータープログラム」などがあります。

 これらの知的財産は研究者や教育者(多くの場合、研究者=教育者です)による日常的活動から生み出されています。研究者によっては大学での研究テーマが全く変わらないケースもありますし、発展的に多くの研究テーマを手掛けるケースもありますが、根っこは一つであることが殆どです。従いまして、産業界や社会の皆様からは最新技術に取り組んでいるように見える場合でも、そのルーツは極めて普遍的な現象解明や原理追求であることが珍しくありません。

 しかしながら、一つの現象を解明する過程で遭遇する多くの課題と、その解決のための思考経験が独自のノウハウを形成しますので、全く別の現象や課題を解明する能力を培うとも言えます。すなわち、大学研究者は問題解決が日常生活でもあることから、問題解決のエキスパートとしての側面も有しています。このような経験から、産業界や社会が直面する技術課題や環境問題などに対して有益な示唆を行うことも希ではありません。

 大学研究者によるコメント機能も含めて知的財産とすれば、是非ともこれらの知的財産を活用して頂きたく思います。このような形での社会貢献は大学本来の責務であります。個々の知的財産については別に示しますので、ここでは岡山大学の知的財産戦略を紹介します。

 現在、岡山大学の知的財産本部が掲げている知的財産戦略には「マグマ特許による大型知的財産の形成」と、「広域での技術開発・技術移転の実践」の二つがあります。図1は「知の生産サイクル」を示したものです。知的財産形成と技術移転を円滑に繰り返し、途切れることの無い知恵を社会へ提供することが大学の使命でもあります。この「知の生産サイクル」を大型化することが重要であり、そのためにこの二つの戦略を策定しました。


知の生産サイクル
図1 知の生産サイクル


2.マグマ特許による大型知的財産の形成について

 大学の研究者による研究内容は前述のように「基礎現象の解明」や「新規物質の製造」、「根源的病気治療法の提案」など原理原則に近いところを探索するものも少なくありません。このような原理原則を解明した技術を岡山大学では「マグマ技術」、それに関連する特許を「マグマ特許」と呼びます。そして、産業界の出口イメージが少しだけ固まりつつある段階で形成される「マグマ技術」の機能確認や効果検証が成された技術を「コア技術」、それに関連する特許を「コア特許」と呼びます。
 マグマ技術やコア技術が固まれば、次は製品開発を目指す段階となります。この段階からは産業界との連携による技術開発が効率的となります。

 図2は、「マグマ特許」、「コア特許」、「モジュール特許」、「システム特許、制御特許」、「製品特許、製造特許」などの開発段階ごとに形成される特許群を示したものです。これらは最終的に製品化され、社会貢献が達成されるという技術の時系列表示とも言えます。
マグマ技術を核として一つの製品化が行われると同時(あるいは製品化後)に、他の製品群の開発も成されます。これをイメージしたものが図3です。
ここで重要なことは「マグマ特許」と「コア特許」に関しては岡山大学が保有し、独占的な外部提供は行わないということです。これは、多くの産業分野を対象にあらゆる企業へ実施許諾を行い、産業を活性化し社会貢献度を最大化するためです。勿論、モジュール技術以降の研究開発では企業との共同研究あるいは委託研究を推奨しますので、そこから得られた技術や特許は企業所有となるべきと考えます。


特許群
図2 マグマ特許を核とした製品開発の時系列的展開と形成される特許群



特許群のイメージ
図3 マグマ特許を核として全方位に発展する大型面的特許群のイメージ


3.広域での技術開発・技術移転の実践について

 前述の「マグマ特許」、「コア特許」を含め、いかに大学が保有する知的財産(技術シーズ)を社会へアピールするかは、岡山大学を含め大学共通の課題です。特に中国地域の大学では産業界(企業)との接点が東京や大阪、名古屋などの地区に比べて希薄という共通する課題があります。これは企業と大学が距離的に離れているという物理的な問題もありますが、比較的規模の小さい企業が多く研究開発という言葉に不慣れ(見えない敷居)という問題があるためではないでしょうか。

 そこで、岡山大学では中国地域の大学や高等専門学校ならびに公的研究機関と連携して、産業界、銀行、公共団体などとのWEBマッチングシステムを導入することにしました(平成20年度から5年間の文部科学省プロジェクト「産学官連携戦略展開事業」による中国地域産学官連携コンソーシアム事業)。この中国地域産学官連携コンソーシアム事業のイメージを図4に示します。

 具体的にはWEB上に国内最大級の技術データベースと特許データベースを用意し、これから企業ユーザへ(登録したキーワードに従い)定期的な情報発信を行います。その際には、コンソーシアムに参加する研究機関からの技術情報や特許情報も配信され、かつ企業の求めに応じて産学官連携プロデューサーが具体的に大学とのマッチングサービスを実施します。このサービスでは各大学の産学官連携コーディネーターが最終的なマッチングサービスを担当します。



コンソの事業イメージ

図4 中国地域産学官連携コンソーシアム事業のイメージ


4.技術移転の対象となる知的財産一覧

 岡山大学の技術移転の対象となる知的財産は、表1の通りです。


知的財産一覧
表1 岡山大学における技術移転の対象となる知的財産一覧


注意
技術(ノウハウ)指導と共同研究は異なります(過去にノウハウ指導などと混同されていた経緯があります)。
共同研究は、知的財産形成手段であり、技術移転の対象ではありません。
技術指導とは、先生方の知識・経験から問題解決のための方向性(解決の道)が提示できる事を前提とします。
共同研究とは、問題解決のための方向性(解決の道)について、双方(依頼者と先生方)共に判らない状況が前提です。従って、解決策を共同で模索する研究となります。
共同研究契約は解決すべき課題とそのための研究の範囲を明確化する事が重要です。極めて広範囲の課題や研究範囲の設定は、目的達成が出来ず成果が散漫になります。安易な課題設定は非効率ですのでご注意下さい。

5.成果有体物の(有償)移転における考え方

 岡山大学における成果有体物の(有償)移転における考え方は、図5の通りです。

成果有体物の移転における考え方

図5 成果有体物の(有償)移転における考え方